米国で大規模災害が選挙に影響を及ぼした最近の事例といえば、2005年にニューオーリンズを
襲ったハリケーン「カトリーナ」と、2012年にニュージャージー州を襲ったハリケーン
「サンディ」が挙げられるだろう。カトリーナのときは事故対応が遅々として進まず、
これが影響して当時50%を上回っていたブッシュ政権の支持率は一気に30%代にまで下落。
翌年に実施された中間選挙でも当時の与党・共和党は惨敗した。当時「カトリーナ・モ
メント」という造語ができたが、これはカトリーナのように政府に対する国民の評価が
マイナスに転じるきっかけとなった出来事を意味するものだった。
これに対して2012年の大統領選挙直前に上陸したハリケーン「サンディ」は、当時の
与党・民主党を後押しする結果をもたらした。当時再選に挑戦していたオバマ大統領
は、対立候補だった共和党のロムニー氏と激しい接戦を繰り広げていたが、サンディ
の被害に米連邦緊急事態管理庁(FEMA)が中心となって迅速かつ効率的に対応したこ
とがプラスの影響をもたらし、選挙で再選を勝ち取った。当時、プリンストン大学の
ポール・クルーグマン教授はニューヨーク・タイムズ紙に「サンディ対カトリーナ」
と題されたコラムを掲載し「政府はカトリーナの時には何をすればいいのか分から
ないようだったが、サンディのときは分かっていた」と分析した。
セウォル号沈没事故も韓国版の「カトリーナ・モメント」となる可能性がある。与党
の支持率下落に加え、近く予定されている統一地方選挙でも与党が苦戦する可能性が出
てきたからだ。現政権は「安全」を政権運営の大きなスローガンとして掲げていたはず
だが、今回の事故では初期対応から問題をさらけ出してしまった。政府系の複数のシン
クタンクは先日発表した調査報告書の中で「韓国国民は社会における危険な要素に大き
く不安を感じており、政府の対応能力にも根本から疑いを持っている」と指摘していた
が、この警告は政府関係者にしっかりと伝わっていなかったのだ。
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2014/04/28/2014042801354.html
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